この規格をワープロ用の新しいキーボード規格として普及させようと努力がされました。
普及しなかった理由として考えられるものは
1.このキーボードが優れていなかったのではないか?
2.それまでにも実績が全然なかった。
などがあげられると思います。
キーボード単体としては、いろいろな実験がされましたが、装置としてまとまったもののテストはされませんでした。
そのため、実際にどんなものかはよくわかっていません。
また、このキーボードの優位性を信じて普及させようという人や組織もありませんでした。
このキーボードはその審議の経緯から、A専門委員会の委員長の渡辺さんのリードで進められました。
渡辺さんは工業技術院電子技術総合研究所の研究室長で、キーボードの研究をしており、その成果がそのまま新JISになりました。
このキーボードの発想としては
従来のカナキーボードは、4段になっているために、アルファベットのキーボードのようにタッチタイプがやりにくい。
その解決方法として、小指で逐次シフトをして3段にかなを配列してあります。
このため、当然のことながらかなの半分のものがシフト側になってしまっています。
そのため、まず小指によるシフトが猛烈に増えるということでタッチ数が増えます。また、小指はそんなに器用な指ではありませんので、小指に負担がかかるということもあります。
そういう意味では、JISキーボードのカナ配列に比べて、3段にしたのはよいのですが、タッチ数がふえてそれが入力の大変さにつながります。
しかし、JISの解説にはこの方式がよいということが、研究の結果立証されたとデータをもとに記述してあります。
解説の概略は
3段形のものと4段形のものとを作り実際にテストをした結果として
3段形のものが、入力速度が100文字に達する学習時間は4段形にくらべて、半分である。入力速度を同じ学習時間で比較すると、3段形のほうが毎分あたり20文字速い。
3段形のシフト側の入力では、シフト側右手系の2文字を連続して打つ場合が 4%増し、左手→右手で打つ場合が25%増しであった。
被験者の全員が、シフト側の文字の方が入力しやすいという意見だった。・・とあります。