東京新聞 昭和54年(1979)10月17日   TEA ブレイク 「英語と日本語」 コンピュータはアメリカで開発されて日本に導入されてきたので、コンピュータの世界 では英語を使うことが常識になっている。従って,日本でもコンピュータのプログラムを 作ったり、コンピュータを操作するためには理屈ぬきで英語を使わなければならない。  これが日本においてだれでもがコンピュータに親しめない大きな理由になっている。こ んなに平気で英語を使っているのはコンピュータの分野くらいではないだろうか?  近ごろ半導体技術の進歩で「マイコン」という小型のコンピュータが市場に出ている。 これは安くて個人でも買える程度のものでアメリカは大人から小学生まで趣味として楽し んでいる。  日本でも流行しているがアメリカの比ではないようだ。これはやはり英語なのでなかな かだれでも親しめないというのが実態であろう。  我々が書くあて名はもちろん漢字で書くが、コンピュータで発行されるダイレクトメー ルのあて名はカタカナで書いてあって、当世では当たり前のようになっているが、郵便局 にはずいぶん迷惑なことである。  このようにコンピュータでは英語のほかにカタカナも扱えるようになっているが漢字か なまじりの日本語は扱えない。従来からコンピュータで漢字を扱うことは不可能ではなか ったが、高くつき手間もかかっていた。  しかし技術の進歩により昨年あたりからコンピュータで漢字をふくめた日本語を取り扱 うことが一般化してきており、手ごろな製品がぼつぼつ市場に出てきた。  日本では日本語が扱えないとコンピュータの利用は数字だけの計算中心ということにな り、いくらコンピュータそのものが安くなったとしても用途は広がらない。  手軽に日本語が扱えるようになればコンピュータはだれにでも使え、何にでも役立つす ばらしい道具になるだろう。当然プログラムは日本語で作るし、コンピュータとの会話も 日本語で行うし、日本語の文章もコンピュータで自由に取り扱えるようになる。これは夢 のような話ではなく現実の問題である。(富士通・開発事業部開発技術部長)