昭和55年5月7日                                  富士通株式会社             オフィスオートメーションをひらく           『日本語電子タイプライタ』の発売について  当社は,このほどオフィスオートメーション分野の一翼を担う,新しいビジネス機器 『日本語電子タイプライタ』を開発,本日より発売いたします。  本機器は,当社独得のキーボード(親指シフトキーボード)の採用により英文タイプ ライタを打つ感覚で日本語文書を作成することができ,さらに校正,編集,文書記憶な どが自由に行なえる画期的なビジネス機器であります。(本機器関連で親指シフトキー ボードをはじめ合計約50件の特許を申請中であります。)  1980年代はオフィスオートメーションの時代ともいわれております。当社では, 今後情報産業の中の重要市場として大きく成長するこのオフィスオートメーション分野 に,コンピュータとコミュニケーションとで育てた技術力を基盤として,長期的な視野 にたって参入していく所存でおりますが,今回の『日本語電子タイプライタ』はその第 一弾であります。  「過去10年間に製造部門における生産性は90%も向上したが,事務部門における 生産性はわずか4%しか向上していない。」というアメリカのSRI(STANFOR D RESEARCH INSTITUTE)の調査結果でも明らかなように,オフィスオ ートメーションの課題は事務部門における知的生産性をいかに向上させるかにあり,そ のためにはそこで働く人間のための環境の整備と機械装備率の向上が大きな鍵となりま す。  たとえば,事務部門における主要な作業の一つである「文書業務」の機械化が実現す れば,それにより事務部門の生産性は飛躍的に向上することが期待できます。           〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 +‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥+ :〔商品名の公募について〕                          : :  当社では,この画期的な新しいビジネス機器『日本語電子タイプライタ』の  : : 商品名を,一般の方々から広く公募いたしたいと考えております。       : : 詳細は添付別紙をご参照下さい。                      : +‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥+ 現に欧米のオフィスでは,古くからタイプライタが使われ,ビジネスマンにとって自ら タイプライタを打って文書を作成することは自然のこととなっており,最近ではそれが 電子化され文書の作成のみならず編集,保管,検索,印刷,複写,送受信などのできる ワードプロセッサが出現して「文書業務」の生産性は格段に向上してきております。 日本において,誰でも使えるタイプライタが存在しなかったのは,いうまでもなく日本 語文章は漢字かな混じり文であり,この漢字の入力方法が極めて難しいためであります。 エレクトロニクス技術の著しい進歩にも拘わらず「文書業務」の機械化,効率化が遅れ ている最大の要因は,この日本語入力の困難さにあります。 たとえば,和文タイプライタはタイピストという専門家でないと容易に使いこなせませ ん。 本日発表の『日本語電子タイプライタ』は,この日本語の入力の問題を当社独特の方法 で解決することにより,普通の人なら誰でも英文タイプライタなみの簡便さで,日本語 文書の作成,修正,再利用が行なえる機器として開発されたもので,当社ではオフィス 革命に大きく貢献できるものと確信しております。 なお,『日本語電子タイプライタ』は来る5月14日より4日間,東京・晴海に於て開 催される「ビジネスショウ」にて展示実演いたします。 【特長】 1.日本語文章が誰でも容易に入力できる親指シフトキーボード  キーボードは当社独特の親指キーの採用により,かな50音が英文タイプライタと  同じ3列30個のキーに配列されているため,キーの配列を覚えてしまえば,キー  を見ることなくスピーディーな入力が可能となる。  かな漢字変換は,かな入力後英文タイプライタのスペースキーをたたくように,親  指で変換キーを打つだけ。ディスプレイ画面を見ながら原稿なしに,考えながら文  章を作っていくことができる。(キーボードはこの他,50音順配列,JIS配列  も用意している。) 2.対話式かな漢字変換,単語辞書は10万語  ディスプレイ画面を見ながら単語ごとに漢字に変換する方式で,かな入力後親指で  変換キーを打つだけで自動的に漢字の単語に変換される。同音異義語の場合,一度  に一候補のみ表示,変換キーを打つことにより正しい単語を選択する,選択された  単語は次の時には最初に表示されることとなる。一般に同一文書では同じ単語が使  われることが多いので,この方法は非常に有効である。  単語辞書は10万語まで登録可能。あらかじめ登録された一般単語6万語,固有名  詞2万語のほかに,辞書にない単語を2万語までユーザが自由に作成して登録でき  る。ちなみに普通の国語辞典一冊には約6万語の単語が収録されている。 3.漢字辞書にない文字やマークなどの作成も容易  漢字辞書には,JISにきめられている漢字,非漢字6802字のほかに特殊記号  等を約200字,合計7000字以上が収録されているが,それ以外の漢字,特殊  文字,マーク等を最大94文字までユーザーが自分でディスプレイ画面と対話形式  で随意に作成登録し利用できる。 4.単語,文章の短縮化は自由自在  社名や商品名,時候の挨拶などよく使用される単語や文章(最大48文字まで)は  1文字または数文字のかなに短縮して簡単に登録でき,あとは変換キーを打つだけ  で元の正式な単語,文章が得られる。  例えば「富士通株式会社」を「ふ」と短縮登録しておけば,「ふ」とかな入力して  変換キーを打つだけで「富士通株式会社」が入力されることになる。 5.A4判フルページの大型画面  ディスプレイ画面は14インチ,48字×32行でA4判の文書が一画面上に全文  表示できる。このため文章を作りながら出力イメージを把握することができ,ペー  ジ単位で校正,編集が行なえる。 6.すぐれた校正,編集機能  訂正,挿入,削除,移動など種々の校正,編集をディスプレイ画面を見ながら簡単  に行なうことができる。またあらかじめファイルされている文章を呼び出して一部  分の追加,訂正を行ない簡単に目的の文書を作ることができる,  罫線,アンダーライン,グラフの表示も容易にできる。 7.充実した文書保管機能  作成した文書はフロッピイディスク1枚に最大80ページ(A4判)分まで記憶す  ることができ,あとで自由に取り出して修正や印刷,送信などができる。  文書管理のため,作成した文書には必ず文書番号が自動的に付与される。また文書  の版数管理も自動的に行なわれる。 8.遠隔地への通信機能  電話回線を使用して遠隔地の『日本語電子タイプライタ』に文書を送ったり,コン  ピュータシステムに文書を送ったりすることができる。 【導入効果】  当社では,欧米において100年ほど前から利用されはじめたタイプライタがオフ ィスにおける文書作成の中心となったように,上記のごとく数々の特長を持つ『日本 語電子タイプライタ』が,日本のオフィスにおける文書作成の中心となってオフィス の近代化を推進していくと考えております。  『日本語電子タイプライタ』により,従来には考えられなかった簡便さで,日本語 文書の作成が機械化され,読む人にとって「美しい」とか「読み易い」とかの利点を もたらすばかりでなく,書く(作成する)人の側にとっても,文書作成に必要な時間 と労力の節約がもたらされます。  作成された文書は,ハードコピーとして紙の上に印刷されるだけでなく『日本語電 子タイプライタ』の記憶部内にも文書として記憶されるため,その保管も機械化され ることになります。また,以前に作成されて記憶媒体に保存されている文書をディス プレイ画面上に再現し,必要な修正,追加を加えるだけで新しい文書を作成すること も可能であり,文書作成の生産性は格段に向上することになります。さらに通信機能 を利用すれば,郵便やファクシミリを使わずに,作成した文書を容易に送ったり受け たりすることができ,文書通信の一部が非常に簡単になります。  日本ではコンピュータの利用により,データの処理は相当の水準に達しております が,『日本語電子タイプライタ』によりデータとは扱いの異なる文書の処理も格段の 進歩をすることが期待されます。 【機能仕様】 ・入力機能    方式         対話式かな漢字変換    キーボード      親指シフトキーボード(又は50音配列,JIS配列)    単語辞書       一般単語        約6万語               固有名詞        約2万語               ユーザ登録語      約2万語               対話式登録方式               最新使用優先学習方式    使用文字種      JIS非漢字,第一水準,第二水準漢字 6802字               特殊記号等               200字               ユーザ登録パターン            94字 ・文書作成機能       A4判フルサイズ表示,ページ境界表示,訂正,挿入,               削除,移動,複写,タブ,センタリング,インデント,               行端変更,枠空け,アンダーライン,作表,グラフ,               注記文,文書番号,自動版数管理,書込み保護,               文書結合,文書廃棄。 ・文書印刷機能       自動ページング,さし込み,禁則処理,縦書・横書,               袋とじ。 【機器仕様】 ・本体    ディスプレイ         画面サイズ     14インチ         表示文字数     1536字(48字×32行)         ドット構成     16×16ドット        フロッピイディスク         辞書用       1台         文書用       1台(80ページ/1枚) ・プリンタ   印字方式      ワイヤドットインパクト         ドッド構成     16×16ドット又は24×24ドット         印字速度      40字/秒 ・外形寸法   本体   (幅)700×(奥行)465×(高)387mm         キーボード(〃)425×(〃 )273×(〃) 85mm         プリンタ (〃)598×(〃 )454×(〃)217mm ・電源     AC 100V ± 10% 単相            ………………………………………… 【価格】 ・『日本語電子タイプライタ』(16ドットプリンタ付)    270万円より ・『日本語電子タイプライタ』(24  〃     )    320万円より 【出荷】 ・『日本語電子タイプライタ』(16  〃     )    55年10月より ・『日本語電子タイプライタ』(24  〃     )    56年 1月より 【販売目標】               3年間で 6000台                                 以上 添付:    別紙 「商品名の公募について」        写真 1.日本語電子タイプライタ           2.親指シフトキーボード             ご不明の点は広報課までご照会下さい                    電話(03)215−5236(直通) 「別紙」               商品名の公募について  画期的な新ビジネス機器『日本語電子タイプライタ』の商品名を,下記要領にて 広く一般公募いたします。                    記 1.対象商品  『日本語電子タイプライタ』 2.応募方法  ハガキに「商品名」(1件1作)と住所,氏名,勤務先,所属部門,         電話番号を明記の上お送り下さい。(1人何案でも可) 3.宛先    〒100−91東京中央郵便局私書箱特37号                  富士通株式会社 4.締切り   昭和55年5月31日(土)当日消印有効 5.入選作発表 昭和55年6月20日(金) 6.賞品    入選作1名…ハワイ旅行4泊6日ご招待(含日米経営科学研究所               体験入学)または賞金30万円         記念品500名……国語辞典(応募者全員の中から抽選) 7.審査委員  石原 一子(株高島屋取締役広報室長)         黒川 順二(早稲田大学システム科学研究所特別研究員,               ビジネスショウ委員長)         後藤 勝忠(FACOMファミリ会副会長,               日本軽金属株経営システム部長)         小林 大祐(富士通株社長,審査委員長)                           〔50音順,敬称略〕 注1)厳正な審査を行ない,最もふさわしい商品名を選び,入選作といたします。    入選に該当する作品が多数の場合は抽選といたします。  2)応募された商品名はすべて富士通株に帰属するものとします。  3)富士通株社員およびその家族は応募できません。                              以上