富士通株式会社 オフイス事業本部開発技術部長    神田 泰典 カナの入力方法                                           コンピュータ技術の進歩により、日本語が容易に扱えるようになってきた。そこで問題 になるのは、日本語の入力方法であるが、カナを入力して漢字かな混じりの書き言葉に変 換する方法が有力である。 日本人がカナを入力するのに、一番能率の良い方法はどんな 方法だろうか?  ピアノの鍵盤のように横に一列をキーをならべておいて (黒鍵は濁音にする?)、音 楽の演奏のように、入力できないだろうか。くわしい実験をしたわけではないが、そんな にうまくゆかないようだ。ピアノの鍵盤は音が順番に高くなっているのだが、カナにはそ んな単純な規則はなく、楽器の演奏のようにはカナは入力できない。 次に考えるのが、 アイウエオ順に五×十に並んだ五十音順配列のキーボードである。これは誰でも、簡単に カナが探せて便利なように見えるが、実際には五十個のキーから入力するカナのキーを押 さえるには、キーボードを見る必要があり、熟練しても速度があまり上がらないのが欠点 である。  英文タイプライタを利用することも考えられるが、アルファベットにくらべてカナは数 が多いので、数字の所や右の小指の外側にも拡げて、やっとカナをわりふることができる 。これが現在のコンピュータで使用されているものだが、キーボードを見ないで、入力す ることが困難だといわれている。  調べれば調べるほど、八本の指で三十個のキーから一つを選ぶ英文タイプライタの機構 は歴史の試練をへて残っただけあって、人間の特性に叶った素晴らしい方法で、三十個を 五十個に単純にふやしたのでは、うまくないようだ。  そこで、英文タイプライタではほとんど遊んでいる親指を活用することにした。親指は 他の指とは独立に動かすことができるので、左右の親指のキーを設けて、左右どちらかの 親指を八本の指と同時に押す組合せもあわせて、三十個のキーで九十個の文字位置がえら れる。このようにして、「ゃゅょっ」、濁音、句読点等も独立のキーをわりふることがで き、一度に入力できる。  これを親指シフトキーボードと呼んで、日本語ワードプロセッサ「OASYS」に使用 しているが、英文のように、キーボードを見ないでカナが打て、好評である。