日本語ワードプロセッサの徹底研究 富士通株式会社オフイス事業本部 オアシス開発部長  神田泰典 1.開発のねらい 米国のオフイスではタイプライタが普 及しており、タイプ文書がオフイスの 標準として使われている。 最近では、タイプライタにコンピュー タがついたワードプロセッサがOAの 重要な道具として広く利用されるよう になっている。 日本では従来から、和文タイプライタ が使用されてきたが、これは専門のオ ペレータを必要とし、誰にでも利用で きるものではなかった。 技術の進歩により、日本語もコンピュ ータで扱えるようになってきたが、日 本語は漢字かな混じり文のために、特 に入力については困難な問題が多かっ た。しかし、このままではコンピュー タの能力を利用できないわけであり、 オフイスの文書作業の能率の向上なし には日本におけるオフイスの生産性の 改善は望めないわけである。 このような背景で、日本人が英文のタ イプライタのように使える日本語のタ イプライタが必要であるということで 開発したのが「オアシス」のシリーズ であり、従来の紙と鉛筆の代わりに使 われるようになると予想される。 2.入力方式−採用のねらい 一般の人が使えるという条件で考えて かな漢字変換方式を採用した。 連想方式のようなコードを入力する方 法は、原稿があって専門のオペレータ が使用する場合には有効であるが、オ アシスでは普通の人間が文章を作るの に使うのが目的なので有効ではない。 全文字配列の方式は日本語というより は、漢字の入力方式である。原稿がす でにあって、単にそれを入力するので あれば、原稿の漢字を読み方に関係な く1文字ずつ、漢字の入力装置で入力 できる。 しかし、オアシスでは文章を考えなが ら使うので、言葉の本質である話しこ とばに直結した発音記号であるかな文 字を入力して、それから漢字かな混じ り文にする方法が適している。 かなを入力するには、JISキーボー ドがあるが、4列にかなが配列されて おり、英文の3列よりも1列多いので 、英文のようにブラインドタッチがう まくできない。しかも本来EDP用に 作られているので、「ゃゅょっを」や 句読点がシフト側にあり非常に不便で ある。 ローマ字入力も便利であるが、日常の 日本語の世界とは違うものを、入力の ためとはいえ持ち込むのは違和感が大 きい。 これらの問題点を解決するために、独 特の親指シフトキーボードを開発した 。これは、親指を利用することにより 、英文キーボードと同じようにブライ ンドタッチができる日本語用のキーボ ードである。親指の組合せで90個の ポジションが取れるので、濁音もワン タッチで打てる。文字の配列は文字の 頻度を考慮してあるので、実際に使用 してみると非常に使いやすいというこ とでユーザーから評価されている。 かな漢字変換の時の、同音異義語の扱 いについては、入力する時に選択する ことにし、一度選択したものは次には 最初に出るように辞書の順番が自動的 に変更されるようになっている。実際 の経験では、同じ単語が連続して使用 されることが多く、使用頻度による方 法よりも的中率が高いことが確かめら れている。 文章を作りながら、入力することを目 的にしているので、ディスプレイの表 示の画面の大きさは極力文字数を多く して、作成している文章の前後が見や すいようになっている。(OASYS 100では、48文字36行の文字が 表示できる。)                  3.将来の展望 日本語ワープロは市場に出てから日が 浅いが、その普及は急速である。 従来の和文タイプなら、オフイスに設 置される台数にも限度があるが、ワー プロはその用途の拡がりからみて、今 後相当の台数が設置されるものと考え られる。現在まだ100台以上使用し ている企業はあまりないが、300台 以上使用している富士通社内では、台 数が全然足りないというのが実感であ る。このことからも、設置台数は相当 伸びるものと予想される。 また、マイ・オアシスの発売によって 、一般の人にまで需要がひろがってき ており、個人での使用が将来は増える ことになろう。 OAの実現のためには、ワープロは基 本的なコンポーネントであり、ワープ ロと種々の機能が複合化した商品も今 後出現することになろう。 4.機種と特徴 OASYS100 オアシスの中で最上位機種である。 入力方式は親指シフトキーボードによ る対話式かな漢字変換方式を採用して いる。 キーボードは50音配列キーボードと JISキーボードも選択することがで きる。 変換用の辞書は一般単語5万語、固有 名詞1.5万語のほかに、ユーザ登録 が2万語登録できる。ユーザ単語の登 録は文章作成中に画面から任意の単語 を登録することができ、この機能は応 用範囲が広くて有効な機能である。 ディスプレイ画面は横48文字縦36 行で1536文字の漢字が表示できる ので、A4の文章が表示できる。 使用できる漢字は第二水準の漢字のほ かに特殊記号が約500文字使用でき その他にユーザ登録パターンが94字 登録して使用できる。 通常の文章編集機能のほかに、図形移 動、図形複写や図形登録/読出の機能 があり、表や図形の作成に都合がよい 。 また、計算機能で表の作成後の計算や グラフ作成印刷機能により、円グラフ や折れ線グラフ、棒グラフなどが自動 的に文章と一緒に作成印刷される。 プリンタはドットプリンタで24ドッ トの文字を使用している。プリンタに は自動シートフィーダー付のものとフ ロントインサータ付の2種類がある。 このほかに、オフラインで使用するレ ーザープリンタがあり、これは高速で 30ドットの高品質の印字ができる。 また、2台のOASYS100を通信 回線で結合して文書情報を相互に転送 する回線機能もある。 OASYS100ではワープロの機能 のほかに、分類、索引やデータ処理の 機能をもつソフトも提供している。 またOASYS100で作成した文書 は専用のコンバータにより、外部装置 (コンピュータ等)と日本語文書とし て情報交換をすることができ、この機 能により日本語入力装置として、印刷 業やEDP関係にも使用されている。 OASYS100J オアシスのなかで中位機種である。 入力方式は親指シフトキーボードによ る対話式かな漢字変換方式をもちいて おり、文章を考えながら、入力してゆ くことができる。 キーボードは親指シフトキーボードの ほかに、JISキーボードも選択する ことができる。 かな漢字変換が標準であるが、ローマ 字からの変換もできるように考慮され ている。変換の辞書は一般単語は固有 名詞を含めて、5万語でこのほかにユ ーザが登録できる単語が1万語あり、 文章作成中に自由に単語を登録するこ とができる。 使用できる漢字は第二水準漢字まで使 えるうえに特殊記号が約500文字と ユーザ作成登録パターンが94種使用 できる。 登録単語は最大120文字までの長さ が許されこれが普通のかな漢字変換の ときの他の単語と同様に変換キーだけ で呼び出すことができるので、定型句 を登録しておいて利用するには都合が よい。 ディスプレイ画面は横40文字縦22 行で880文字を一度に表示すること ができるので、文章を作成したり修正 したりするときに都合が良い。 表などを作成するために、自動罫線機 能があり、画面を見ながら簡単に表な どを作成することができる。 また、グラフ作成の機能があり表から 自動的に文書のなかにグラフを作成し て印刷することができる。 プリンタは24ドットのものと16ド ットのものが選択できる。 OASYS100Jで作成した文書は 媒体変換の機構により、OASYS1 00の文書に変換することができるの で、OASYS100と組み合わせて 使用することができる。 添付されている練習フロッピーにより 親指シフトキーボードの練習ができる ほか、機械の操作の練習をすることが できる。 マイ・オアシス 57年春は発売され75万円のワープ ロということで話題を呼んでいるパー ソナルユースのワープロである。 たった19kgで非常にコンパクトであ り、操作も簡単である。マイ・オアシ スもオアシスのシリーズとして、親指 シフトキーボードによる対話式かな漢 字変換方式をとっており、OASYS 100/100Jと同じ入力方式であ り、同じように使える。 ディスプレイは小型ではあるが、横4 0文字縦14行(640文字)で、大 型のワープロに匹敵する文字数を表示 できる。 使用できる漢字は第一水準漢字と特殊 記号400文字の他に94文字のユー ザ登録パターンが使える。第二水準漢 字は登録パターンを利用して使えるよ うになっているので、通常の用途には 十分である。 かな漢字変換の辞書は固有名詞を含む 一般単語が4万語のほかにユーザ登録 できる単語が1万語ある。 ユーザー登録単語は最大120文字ま でなので、慣用句なども登録しておく ことができる。 文章作成のための訂正、挿入、削除、 移動、複写、センタリング、タブ機能 、アンダーライン、拡大文字、縮小文 字(英、数字)などワープロとしての 機能をすべて持っている。 また、自動罫線作成機能をもち、画面 をみながら簡単に表や図形や棒グラフ を作成することができる。 印刷は16ドットのドットプリンタで 行われ、ゴシック体の奇麗な活字で印 刷される。縦/横の印字が自由にでき 、宛名書きに都合のよいさし込み印刷 の機能も持っている。 マイ・オアシスで作成した文書はOA SYS100J上でOASYS100 Jの文書と相互に変換したり、直接O ASYS100Jで印刷することがで きるので、OASYS100Jと組み 合わせて使用することができる。